体験談

私にとってのAA(2) ~2023年10月 地区セミナースピーチより~

今回は、2023年10月に行われたAAの地区セミナーでスピーチをさせてもらったときのお話です。
セミナーのテーマは「私にとってのAA」。スピーチの前に、自分の考えを整理するためにメモを作っていたので、今回はそのメモをもとに、当日のスピーチの内容をできるだけ再現してみました。その2回目です。
前へ

一回目の転機

…そういう感じで、夢中になって走り回って3年が経ち、ソーバー4年目になったときのことです。グループにとある仲間がつながってきました。私の一方的な見方ではありますが、その仲間の支配的な態度によって、グループの運営に支障がきたし、これまで温厚な長い仲間を中心に穏やかにやっていたグループがなにかと騒がしいことになってきてしまいました。

そんな時期に、派遣会社経由で長期で入る予定だった仕事が試用期間1か月で、女ボスに嫌われてクビになってしまいます。東尾久のアパートで一人暮らしを始めて間もない頃のことでした。「えー!? 酒も飲んでないし、仕事もやってきたし、自助グループの活動も熱心にやっているし、なぜこんな目に!」と思ったそのときに、思いついたのが…「そうだ、トロント行こう!」ということでした。

なぜトロントかといえば、翌年の2005年にトロントでAAの70周年国際コンベンションが開催されるからです。それに参加して、そのままお金が尽きるまで現地のAAを回って帰国しようと考えました。結果として、トロントからニューヨークへ渡り、そこで知り合ったAAの女性メンバーのルームメイトになって、ニューヨークに2か月半滞在することになるのですが、この話は話し出すとキリがないので詳細は別の機会にしたいと思います。

大変すばらしい経験をさせてもらったのですが、帰国してからが大変でした。まず、所属していたグループはますますムード悪くなっており、そのグループは抜けることになりました。そうすると、サービスも全部手放さざるを得なくなります。内定していた矯正施設委員会の委員長の役割も辞退しました。…その節は、前委員長の●●さんには多大な迷惑をおかけしまして申し訳なかったと思っております。まあ、いまさら言われても、という感じでしょうけれども(笑)。

こうしていったん「AAの活動ゼロクリア」みたいなことになってしまいましたが、なによりやばかったのはミーティングが嫌になってしまったことです。ニューヨークで100回ミーティングに出席して帰国して日本のAAのミーティングに出てみたら「なんか全然、回復の話が聞けない。底付きの話ばっかり」と思えて仕方なかったんですよね。もちろん、今はそんなふうには思っていません。そうはいってもミーティングに行かないわけにはいかず、六本木界隈の英語ミーティングに参加したりしていました。

ところがうまくしたもので、ちょうどそのころ「ビックブックで提案されている通りのやり方で12ステップのステップワークをしっかりやろう」というムーブメントが起きました。私の印象では全国で一斉にそういう流れになったと記憶しています。私は「これだ~!!」と思い、ビックブックミーティングをやっているグループに入り、ステップワーク三昧でゼネラルサービスからは完全に離れていました。そういう生活を3年くらい続けました。

二回目の転機

ステップワークは主に「Do the steps」…1対1でプログラムを伝えるやり方でやっていました。でも、あるときから「なんか、これ、おかしくない?」と感じるようになったんですね。いえ、「Do the steps」がおかしいという意味ではありません。個人のステップワークに偏った取り組みがおかしいな、と思ったのです。この辺も詳しく話すと長くなりますので端折ります。

同じように感じていた仲間と別のグループを作りました。そこではAAのプログラムは、やはりあの三角形のシンボルマーク通りにやるべきである、という原点に還ってグループを運営していくことを目指しました。これが二回目の転機です。

私にとって転機はAAのプログラム的に生きていくにあたって、大きなチャンスとなりました。考えてみればソーバー3年で、仕事をクビになったのはアメリカに行かせてもらうために必要な経験だったわけです。帰国して、グループをおん出るハメになったのも、それまで、そのグループと人間関係からいただいていた温かい、慣れ親しんだ環境から離れて成長する必要があったからからです。日本のミーティングがガチ大嫌いになったのも、やはりしっかりステップワークとか祈りと黙想とか、個人の霊的回復をはっきり意識してすごす、ということが必要だったからです。

こうした経験を通して、本当に「ハイヤーパワーの意志が確かに働いた!」ということを実感しました。夢中になってAAに関わっていると、必要なときに必要な転機は必ず与えられるのだということも確信しました。これで何がよかったかというと、先の不安というものがほぼなくなったんですね。挫折、失敗、悩み、苦しみはすべてチャンスですから。

三回目の転機

そしてまた、話はいちだんと端折りまして…。ソーバー9年のころ、AAメンバーと結婚して、2010年新婚旅行で、サンアントニオのAA75周年国際コンベンションに参加しました。AAメンバーとして、新婚旅行で国際コンベンションへというのもありがたい話です。私としてはそのまま長距離バスでニューオーリンズあたりのAAへ行きたかったのですが…(笑)。結婚して4年後に、いま住んでいる千葉県南房総市に移住して、南総里見グループを作りました。千葉県最南端、房総半島内の、ただひとつのグループとして12ステップコールの活動を行っています。

最後に

こうして振り返ってみると本日のテーマ「私にとってのAA」というのは、まさに私の人生そのものとなっています。私としては、これで本当に「文句なし!」です。こうしたセミナーというのは、やはりメッセージを運ぶ機会なので、未だ苦しんでいる仲間、新しい仲間、本日このセミナーご参加いただいている、AAの友人である関係機関のみなさまにはぜひ、多くのAAメンバーに関わっていただき、ともに霊的成長をめざしていっていただけたらなあ、と思っております。ありがとうございました。

(1)へ
ブログの目次はこちら

タイトルとURLをコピーしました