体験談

【回復の日常】AAが日本で発展しにくい理由は「100円玉」の重さにある?

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AAのメンバーは、いつも「どうすればアルコールの問題で苦しんでいる人を助けられるのか、AAにつなげられるのか?」ということを考えています。けれども、現実はなかなかうまくいきません。その原因は何か? 今回は半分本気、半分は冗談で、これまで口に出してこなかった「ある仮説」を述べてみたいと思います。

私は小銭に縁のある女

私はどうやら、大金には縁がないけれど(これからに期待!)、小銭には縁がある女のようです。

10数年前、他界した母が残したのは、大量の小銭がみっしり詰まった梅酒の瓶とお菓子の缶でした。当時はゆうちょ銀行が無料で入金してくれたので、何度も窓口へ通ったものです。しかし、今年「実家仕舞い」をしてみれば、またもや大量の1円・10円玉が出現。今は驚くほどの手数料がかかると知り、両替を断念しました。現在は物置に鎮座させ、コツコツと小銭ケースに移しては使う「自家製両替」の日々を送っています。

全国の会計係の奮闘

私は今、グループの会計を担当していますが、溜まっていく小銭を自分の財布からお札へ両替し、カサを減らすのが日課です。

10年以上前のことになりますが、私が関東甲信越という広いエリアを担当する財務委員長という役割をいただいたときには200名近いメンバーから集まる大量の小銭を預かりました。およそ3万円分の小銭を抱えて東京郊外から川崎へ勤務し、昼休みに郵便局に駆け込んで両替していました。土日は郵便局の窓口が開かず、他にどうしようもなかったのです。

「お札」のアメリカ、「小銭」の日本

以前、アメリカのAAミーティングに参加した際、献金のために回ってきたのは「バスケット(かご)」でした。なぜバスケットでいいのか。それは、アメリカの献金の最小単位が概ね「1ドル札」だからです。お札は軽くてかさばりません。

一方、日本のAAはどうでしょう。回ってくるのは「献金袋」か、入り口に置かれた「献金箱」。日本のスタンダードは「100円玉」です。ときには財布に残った小銭をすべて入れてくださる方もいます。 ここで、ある仮説が浮かびます。 「日本でAAが発展しにくい理由のひとつは、この小銭の物理的重さにあるのではないか?」 冗談のようですが、会計担当の日常には、確実に影響します。

小銭の重さと献身の重さ

AAの献金は会計係の献身に依存しているといってよいでしょう。

日本全国でミーティングその他、AAの集まりがあるたびに、献金として大量の小銭が集まります。献金は「霊的なお金」として大切に運用されるのですが、実際問題、AAグループの性格上、各グループで銀行口座を開くことは一般的ではなく、会計係は常に大量の小銭を抱えてこつこつ自分で両替している場合が多いのではないでしょうか。まして、両替・入金に手数料がかかるようになった昨今はなおさらです。

「じゃあPayPayにすれば?」という声も聞こえてきそうですが、AAには「アノニマス(無名性)」という思想があり「誰がいくら払ったか」が記録されてしまう電子マネーは、無名性を原則とする献金のあり方とは相容れない部分があるのです。

「嗚呼! 仲間から集まった霊的なお金!」と、その重みを「ありがたさ」として受け止められるようになったら、ようやく一人前のAAメンバーといえるのかもしれません。
無名性を保ったまま、もっとスマートに献金できる未来が来るのか。それとも、この「重さ」こそが大切な修行なのか。
……まあ、それも「ハイヤー・パワー(自分を超えた大きな力)」にお任せ、ということにしておきましょうか。

そして、今日も私は小銭ケースを手に、ありがたさと重さの両方を感じているのです

(記:2025年12月)




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