
AAでは自分の話をする前に自己紹介をしますが、そのときにどう名乗るかは人によって違います。
以下の4つのパターンがあります。
日本のAAに20数年いた私の主観に基づき(笑)、パーセンテージも入れてみました。
(1)アル中の◯◯です。 20%
(2)アルコール中毒者の◯◯です。5%
(3)アルコール依存症の◯◯です。70%
(4)アルコホーリクの◯◯です。5%
…これ以外はまず、聞いたことがありません。
AAの本家本元ともいうべきアメリカのミーティングではどうでしょうか。
私の経験(詳細は「ニューヨーク AA武者修業たらたら編」)からすると、ほぼ100%これです。
Hi, I’m ◯◯, and I’m an alcoholic.
稀に
Hi, I’m ○○, and I’m a recovered alcoholic.
と名乗る人もいた記憶があります。20年前のことで、記憶が定かではありません。今であれば「なぜそのように名乗ったのですか?」とブロークンな英語で、遠慮なく質問すると思うのですが(笑)。
さて、私自身は(2)です。「アルコール中毒者のぴなこです」
なぜこの名乗り方なのかというと、AAにつながった最初のころお世話になった長い(ロングソーバー)仲間がそのように名乗っていたからで、習慣で続けています。
今では「アルコール依存症」と言う仲間が多いように感じますが、少しだけ違和感があります。「アルコール依存症」は病名であって、AAで言う私たちの病気の本質は「ホリック」の部分。霊的なものを含んで捉えたほうがしっくりくるように思うからです。とはいえ、日本語でぴったりあてはまる表現がないので、「アルコホーリク」そのまま使うのがいちばん近いという気はします。
日本のAAメンバーのほとんどがアルコール専門病院を経由してやってくるので、病院で告げられた診断名をそのまま使っているのかな、というのが私の見立てです。
かつてお世話になった断酒会の会長さんが「オレはアルコール依存症なんかじゃないぞ! 酒の毒に中(あた)ったんだ! アル中だ」と言っていたのが思い出深く、なるほどなあ、と感心したことを覚えています。
どう名乗るかは個人の好みですね。
ところで、医学的には今「アルコール依存症」ではなくて「アルコール使用障害」というのだと最近知りました。
医学の分野では、2013年に改訂された精神医学の診断基準DSM-5で、それまでの「アルコール乱用(alcohol abuse)」と「アルコール依存(alcohol dependence)」が統合され、「アルコール使用障害(Alcohol Use Disorder:AUD)」という診断名になりました。
(DSM-5はアメリカ精神医学会が作成している精神疾患の診断基準マニュアルです)
・・・「アルコール使用障害」が医学的な呼び名ということは、当事者にも関わらず、ちっとも知りませんでした。それもそのはずで、日本語のサイトを調べてみると、このAUDという概念をきちんと説明しているページは意外なほど少ないのです。それだけ、日本という世間では、この問題に関心が持たれていないのかと、少し残念な気がしなくもありません。
でも、「アルコール乱用(alcohol abuse)」と「アルコール依存(alcohol dependence)」が統合されたというのは、よいことかなと思います。乱用であれ、依存症であれ、当人とその周囲、社会に与えるダメージは大きいので、等しく酒の害、というとらえ方はアリだろうと思うからです。
「アルコール中毒者のぴなこです」と名乗るたびに、自分自身が「今日一日の執行猶予」の身の上であり、決して治らない病気から日々回復していくんだ、という決意が軽く(笑)よみがえります。名乗り方はさまざまであっても、自分が何者であるのか、ということを常に思い出させるこの一言は私にとってはとても大切なものだと思っています。
(詳しくはこちら)
American Psychiatric Association / NIAAA
Substance-Related and Addictive Disorders https://www.psychiatry.org/File%20Library/Psychiatrists/Practice/DSM/APA_DSM-5-Substance-Use-Disorder.pdf
(記:2026年3月10日)
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