体験談

私なりに12ステップを説明してみます(2)

続いてステップ2です。

ステップ2
自分を超えた大きな力が、私たちを健康な心に戻してくれると信じるようになった。
Came to believe that a Power greater than ourselves could restore us to sanity.

AAワールド・サービス社の許可のもとにより再録

自分を超えた大きな力、ハイヤーパワーとも言います。

一番短い言葉で言うと「神」かなのですが、自分を超えたものであればなんでもいいわけなんです。ただし「二本足はハイヤーパワーにしてはいけない」と言われています。つまり、人間はハイヤーパワーにはしてはいけないということですね。この、ハイヤーパワーが「私たちを健康な心に戻してくれると信じるようになった」というのがステップ2です。

でも、これ、「信じるようになった」。原文のほうを見てみても、” Came to believe” です。「信じましょう」とか「信じます」じゃないんですね。「信じるようになった」っていう、受け身的な言い方になっています。

これは、多分、ステップ1と2の関係で必然的にこういうふうになるのだと私は思っています。ステップ1と2っていうのは、分かちがたく結びついているのではないでしょうか。

ステップ1の「無力」で、「自分の人生がコントロールできなくなった」という、ありのままの現実が見えた…非常に ありがたくないありのまま。長らく認めることができなかった、自分にとって都合が悪い現実を認めざるを得なくなった。逃げられなくなった。…もう自分は飲むのがやめられないってことがわかったわけです。

で、やめられないからどうする? 「じゃあ、飲んだまま死ぬのを待とう」という話になりそうですよね。だって、病気で酒を飲む。飲んでると死にます、という話になって、では、酒をやめなきゃいけない。けど、やめられない病気なんです、と。こうなると、もう絶望しかない。そのまま飲み続けるか、…なんだったら…どうせ死ぬんだったら、今、死にますかっていう…自分で死ぬか、みたいなことにどう考えてもなると思うんです。さもなきゃ発狂するか。

大体この3パターンぐらいしか思いつきません。けれども、とりあえず酒はどうしてもやめられないみたいだっていう、ありのままの自分を受けとめたとき、その時点で、飲むことをやめることはできないけれども、飲まないで生きていくことができるのではないか、と「信じる心」が発動する…ステップ2的なものっていうのは、自分自身でまったく意識しないままに芽生えるのではないかと思います。そうでないと理屈が通りません。

死ぬまで飲むか、その場で死ぬか、発狂するかという選択肢の中で、それ以外の道をとった時点で、何か信じたはずなんです。まだ形にならない、自分でもわからないない何かを 信じたはずです。はっきりとした形になっていなくても「なんとか飲まないで生きていきたい」とか、「飲まないで生きていくしかない」とか、そういう思いが少しでも生まれたとき、同時に「飲まないで生きていける」と信じる気持ちが同じように生まれているんだと思います。

目の前のリンゴが「ない」と言っていた私も「健康な心にもどしてくれると信じるようになった」。まさにその通りです。ステップ1の結果、ステップ2に自動的につながる。飲まない一日を続けて、プログラムに従って生きる中で、その思いがどんどんどんどんどんどん強くなり、どんどん、どんどん信じられるようになっていきました。 私もそうでしたし、他の多くの仲間もそうだったろうと思います。自分を超えた大きな力、ハイヤーパワーを信じる力も強くなっていきます。それがAAのプログラムをやっていくときの、土台というか、モチベーションにも、なっていくんだろうと思います。

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