体験談

私のアル中体験記 飲んでた頃と、飲まない今の長いいきさつ(13)

「自分なりに理解した神」の計画に従って

アルコール中毒者のぴなこです。アルコールを手放してから、自助グループへ通い、今日、飲まずに生きて23年に至るまでのところを、ざっとお話をしています。前回は、東京から千葉県南房総市に引っ越してきてから今までの暮らしについてお話しましたが、今回は、この長いいきさつの最終回です。長い間、お付き合いくださいましてありがとうございました。

前回はこちら

これからも今日一日のプログラムとともに

やっと、時間軸で現在まで近づいてきましたが、いろいろお伝えしたいことがあってですね、全然、話足りません…。

ざっと振り返ってみて思うことは、私はアルコール依存症で、15年もの間 お酒を飲んで、夢も希望もなく、周りに迷惑をかけ、嫌がられて嫌われていました。私としても、毎日毎日、きつかったというのはあったんですけれども、今、振り返ってみると、私はやはり必然性があって、必要があって、15年間酒を飲んで苦しんだのだと思います。

酒があったから、助かった、酒に助けられた、というのが本当のところでした。私は酒を飲んでなければ…薬物には興味がありませんでしたし、恋愛も向いておらず、ギャンブルもまるでだめだと思うので、私の依存の対象は宗教だったり、政治活動だったりとか、そういう方面になっていた気がします。だから1995年にオウム真理教が地下鉄サリン事件を起こしましたけれども、他人事とは思えません。私もああいうことをしていた可能性っていうのは、あったのではないかといつも思います。

周りに迷惑をかけましたが、依存の対象が酒で、まだよかったと。酒が悪いなどとは今でもちっとも思っていません。酒のせいではないわけです。とはいうものの、昨今では「アルコールにノーリスクはない」ということが世界的な常識となってきました。私自身は社会がもっと酒に厳しくなっていくことを望んでいます。そうすれば問題飲酒をする人やアルコホリックが酒から離れるチャンスが多くなると思うからです。

私自身は必要があってアルコール依存症になり、そこからやっと自分が自分として生きる道が開けました。そしてすべてのことには意味があり、自分がアルコールの問題と向き合い、自分の生き方の問題から逃げずに向き合うことをやめない限りは、必ず道は開けるっていうことを、これまで喋っていて思い出しました。

例えば、今回も少し話題に出た「そうだ、トロント行こう」の件。やっと長期でつけると思った仕事が1か月でクビになって、あのとき私は「なんで、こんな目に! 3年間仕事もして、ずっと 自助グループも休まずにやって酒も飲まず、自分の自由になる時間のほとんどを自助グループにつぎこんできたのに」と思ったんですけれども。今から思えば、仕事クビになったのは、アメリカに行って新しいことを学ぶ、知るチャンスをいただいたのだと。

AA的には「神様の計画」という言い方をしますけど…そういうことだったんだろうと思います。その後、仕事のことでも、「いいな」と思って就くと、そのたびに何かの事情で手放さざるを得なくなるんですよね。

今回、お話して思い出しましたが、本当に「次こそは、次こそは」という感じで勢い込んで取り組んでも、都度都度ダメ。自分の性格がまずいのかなと思ったり…それもあるでしょうけど…今でははっきり理解しています。根本的に私は、会社勤めっていうのは向いてないと。そんなことはもう随分 若い頃からわかってたはずなんだけど、でもどこかでやはり諦めがつかなかったんだと思うんですよね。できるはず、できるはず、頑張ればできるはずって思って。でも自分の心の中では 「好きじゃないんだよな、こういうの」みたいなことがあったんだと思います。

自分でうまくいかないように仕向けていたのではないでしょうか。自分自身を正直に見ることに失敗した結果かなと思います。長い回り道をしましたが、理想的とまではまだ言えないものの、今は、かなり自分の望むスタイルの生活ができています。都会ではなくて、海や山のあるところで暮らす、ということも実現できましたし、在宅で、自分の裁量で仕事をある程度やれるという感じになってきています。まだまだ不十分ではありますが…。

すべてのことが、思いもがけず、恵まれたものになっているのは、もちろん、周りの方の支え、協力があったからだと思います。また、自助グループの中でずっと生き、学んできたことが、自分の血肉になっています。

今、いちばんありがたいのは、これから先、困難や挫折に行き当たっても、逃げ出さずに、自分なりに向き合えば必ずその後に 進むべき道が見えてくるということが分かり、生きていくことがあまり怖くなくなったことです。

困難や挫折は必ず意味があるものなので。困ったり、しんどかったりしたら、仲間もいますし。しかもAAは世界中にあるから、世界中に、仲間がいます。そう思うことで、タバコよりも体に悪いと言われる孤独とも縁が切れています。

本当にざっとですけど、自分の生きて来し方を振り返ってみて、ここまで、このようにして生きてこられて本当に良かったと改めて思いました。なので、アルコール依存症の当事者としては、他の方もそうなるように、今、苦しんでいる方で、酒を辞めたいと思ってる方の助けになるために活動していくことが自分にとってもいちばん愉快で、やりがいのあることだと思っています。これから、どんどん、私の体験、飲んでいたときの話も、ソブラエティに入ってからの話も話していきたいとと思っています。長い時間、どうもありがとうございました。

前へ
ブログ記事の目次(体験談のリストもあります)

タイトルとURLをコピーしました