体験談

私なりに12ステップを説明してみます(5)

こうした性格上の欠点全部を、神に取り除いてもらう準備がすべて整った。
Were entirely ready to have God remove all these defects of character.

AAワールド・サービス社の許可のもとにより再録

ステップ5で導き出された過ちの本質を認めたら、そこから「自分の性格上の欠点て、何だろうね」ということを、話を聞いてくれた方と一緒に考えます。例えば短気である、とか、自己中心的である、とか、不正直である、傲慢である、とかそういったことです。欠点をあぶりだすことができたら、次、ステップ7です。

ステップ7
私たちの短所を取り除いてくださいと、謙虚に神に求めた。
Humbly asked Him to remove our shortcomings.

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自分の過ちの本質を理解して、それが自分の性格のどのような欠点からくるものなのかを理解した上で、その短所を取り除いてください、と神に求めます。

ところで、ステップ6では性格上の欠点(defects of character)、ステップ7では私たちの短所(our shortcomings)と書かれていますね。欠点と短所、違う言葉が使われています。私は長いこと気づきもしなかったのですが、あるメンバーが自分の経験を通して教えてくれました。その方はステップ5で話を聞いてもらう相手に、長い間アメリカでAAメンバーと関わった精神科医を選んだそうです。そのときに「defects」は、根本的に欠けている部分、いわば「直らないような欠陥」。「shortcomings」は、行動レベルに表れるような弱点とでもいうもので、気をつければ直したり、改めたりできるもの、と教えてもらったとのこと。私なりの理解では性格の欠点は直らないけれども、その結果として出てきてしまう間違えた行動については取り除いてください、と神様に求める、ということかと思います。自分の霊的成長、心の成長を誓う、とても霊的なところだといつも感じます。

ステップ8
私たちが傷つけたすべての人の表を作り、その人たち全員に進んで埋め合わせをしようとする気持ちになった。
Made a list of all persons we had harmed, and became willing to make amends to them all.

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ここでは、棚卸しの内容を振り返って、自分が傷つけた相手をリストアップします。

親、子ども、友人、仕事の関係者、その他。リストアップした人たちに、ちゃんとお詫びをして、埋め合わせをしようという気持ちになったか。なるはずなんですね。複雑な感情があって、すぐにはお詫び、埋め合わせをしたくない相手もいるかもしれませんが、どのような形でお詫び、埋め合わせをするかどうかは、ステップ5で話した相手から提案してもらいながら一緒に考えます。

リストアップされた人たちに対して、一人ずつ、いつ、どのように埋め合わせをするか決めます。すぐに着手したほうがいい埋め合わせもあれば、時期を待ったほうがよい埋め合わせもあるし、場合によってはもう埋め合わせが済んでいることもあります。相手が亡くなっている場合もあります。

相手を傷つけないようによく考えながら丁寧に埋め合わせのやり方を考えます。もう会わないほうがよい相手や亡くなっている相手には、ほとんどの場合「祈りの提案」が出ます。もう会わないほうがよい相手であっても、亡くなっている相手であっても、埋め合わせは必要でチャラにはなりません。これも漏れがないように徹底的に洗い出したら、あとは実行あるのみです。一生かかります、多分。

ステップ9
その人たちやほかの人を傷つけない限り、機会あるたびに、その人たちに直接埋め合わせをした。
Made direct amends to such people wherever possible, except when to do so would injure them or others.

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これはもう、その通りです。埋め合わせの相手を傷つけないように、という配慮はとても重要なので、ステップ8、9は、自分勝手にやるのはNGです。結構ありがちなのが、早く、解放されたいというか、自分が楽になりたいからといって「すぐ、謝りに行こう」という考える人もいるのですが、それはやはりダメです。

ステップ4から8というのは棚卸しに続いて、ひとまとめに行うのが基本です。

12ステップは、4と5、6と7、8と9が、それぞれペアになっています。4の棚卸しに続いて、5で、神様と他の人の前で話すこと。4がインナーワーク、自分1人でやること。5はアウターワークで、実際に第三者とか、外に向かってアウトプットするステップです。

次の6と7の組み合わせでも、6が、自分の性格の欠点を理解して、認めるというインナーワークで、7が「神に求める」という、アウターワークになっています。

8、9も同じで、傷つけた人のリストアップをして、埋め合わせをする気持ちになるというのが、インナーワーク、9がまさに行動、アウターワークですよね。こういう構造になっているのが、「行動のプログラム」と言われる所以かと。インナーワークを徹底的にやることも大事。でもそれだけでは全然だめで、アウターワーク、日々の行動が同じくらい大事だということでしょう。

ちなみにビックブックを読むと、AAの初期のメンバーというのは、一気呵成にやっているんですよね。1、2、3のところ、底をついて、神に委ねる決心をして、もうその日のうちから4から8までやって9に着手しています。今でももちろん、そういうふうにやってる仲間は、世界広く見渡してみれば、いくらでもいると思うんですけれども、日本のAA的な感覚だと…私が20数年前にAAに繋がった時というのは、大体繋がって1年ぐらい経って落ち着いてきたころ、ステップ4、5にとりかかる提案が出ることが多い感じでした。人によって違いますけれども、やはり1年以内にやった方がいいような気がします。もちろん、ステップ4以降をやらない人もいます。ステップは1、2、3までしかやらないという人もいますし、ミーティングで話すだけでいいという人もいます。もちろん、やるかやらないかは自由です。とはいえ、やはりAAの個人の回復のステップは、ステップ1から12までです。1から12までで1つのプログラムになっていますので、提案としては、全部やるものだろうなという気がします。

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