体験談

私なりに12ステップを説明してみます(4)

前回、12のステップの1、2、3のところまでお話しましたが、今回はステップ4以降についてお話してみたいと思います。

12ステップは、1、2、3がひとかたまり、4から9までが次のひとかたまり、10、11、12が次のひとかたまりになっています。4から9のところは、行動のステップで、いかにも、ステップっぽいところです。そしてこの4から9のステップは、4と5、6と7、8と9がペアになっています。まずステップ4と5はこのようなものです。

ステップ4
恐れずに、徹底して、自分自身の棚卸しを行い、それを表に作った。
Made a searching and fearless moral inventory of ourselves.

ステップ5
神に対し、自分に対し、そしてもう1人の人に対して、自分の過ちの本質をありのままに認めた。
Admitted to God, to ourselves, and to another human being the exact nature of our wrongs.

AAワールド・サービス社の許可のもとにより再録

ステップ4と5のセットは日本のAAでは、よく「ヨンゴー」と呼ばれています。

自分の棚卸しをして、神様と、他の人の前で話すということです。これは、普通に考えて、結構ショックというか「これ、やんなきゃいけないんですか?! まじすか?」なんて思うと思うんですね。私もAAに繋がる前に、12ステップを読んだ時に、この4と5のところっていうのは、すごく抵抗感がありました。そのせいで、AAの門を叩くのが少し遅くなりました。やっぱり「こういうことやるの嫌だな」って思ったんですよね。正直なところ。それに「怖いんじゃないのかな」と思いました。自分のことを洗いざらい話す…聞かせる相手がプロのカウンセラーとか、精神科医とかでない限りは、基本的にアマチュアなわけです。素人に自分のこと、やってきたことを全部話すとか内面的なものを吐露するとか、危ないんじゃないか。自分が崩壊してしまうのではないか。そんなきついことやって、フォローしてもらえなかったらどうするんだ、と、考えました。

でも、AAのプログラムやAAのメンバーには、その恐れ以上に吸引力や魅力があったんですね。「ステップ4、5、やるのイヤだけど、おっかないけど」と思いつつ、結局、AAに引き寄せられるように行ってしまいました。

さて、ステップ4、5です。

自分の棚卸しをするんですけれども、私がAAに繋がった20数年前というのは、意外と「表を作りなさい」という言い方はされていなかったように記憶しています。自分の棚卸し…書くのは書くんですけど、表を作るやり方というのは、当時は聞いたことがありませんでした。

ちょうど20年ほど前、2005年頃から「ビックブック(アルコホーリクス・アノニマス)のやり方に則って、ステップワークをやりましょう」というようなムーブメントが急に起こって、あっという間に、全国的に広まりました。その時に、表を使うやり方っていうのが、一気に、爆発的に、広がったという印象があります。あくまで私の印象なので、もしかしたら、昔から表を使ってやっていたメンバーもいたかもしれませんけれども…。

ステップ4の表はビックブックに載っています。簡単な表なのですが、実際には、いろいろな種類の表が出回っています。表を使って棚卸しを書くやり方はリスト式、表を使わない、フリースタイルみたいなやり方をヒストリー式と呼んだりします。私はその両方のやり方を経験しました。そのときの経験については、ステップの体験談のほうに書きます。今回は一般的なやり方的だけお話しようと思います。

リスト式にしろ、ヒストリー式にしろ、まずは自分で書くんですね。自分の生まれた時から今日まで、全部、思い出せることを…何から何まで全部書くわけではないんですけれども…心に残っていることですね。自分が恨んでることとか、怒りをもって腹を立てたこと、傷ついたこと、挫折したこと、まあ、自分が引きずった問題、自分がアル中になるに至ったその原因と思われるもの、なんでも、全部書き出します。

お店の棚卸しを想像してもらうと分かりやすいと思いますが、何があるのか全部調べなければ意味がないじゃないですか。それと同じような感じで自分の生きて来し方を棚卸しするんです。

とにかく書くことが重要で、もう、全部書きます。隅々まで、正直に。「これは蓋をしておこう」とかいうのはなし。「これ、墓場まで持っていくつもり」と思っていたものも恐れずにあらいざらい書かなければいけません。書いたものについては、ステップ5で誰かに話すときには見せないので、自分がわかるように書いておけば、大丈夫です。

書き終わったら、誰か捕まえて自分の棚卸しの内容を聞いてもらいます。相手は、基本的にはAAメンバーがよくて、できればスポンサー…個人的にプログラムを一緒にやってくれる仲間のことをスポンサーと言います。ミーティングでは話せないような、個人的な悩み事を相談したり、プログラムを一緒にやっていったりする、個人的に近い関係のメンバーです。この関係はスポンサーシップと呼ばれていて、師弟関係でもなければ先輩・後輩という上下の関係がない、対等な関係で、日本人的には非常に、わかりにくいかもしれないんですけど…。スポンサーシップについては、また、別のトピックを立ててお話したいと思います。ステップ5で話す相手は、スポンサーを選ぶ人が多いですが、スポンサーでなくてもOKです。例えば、精神科医やカウンセラー、聖職者など。AAのプログラムがどのようなものでステップ4と5をやる意味を理解してくれる方である必要があります。なので、やはり多くの場合はAAのメンバーか、信仰を持ってる人だったら聖職者とか、信頼関係が厚くて時間をとってもらえるのであれば、精神科医とかなるのかな、というところです。基本的に、AAメンバーであれば同性の仲間、女性であれば女性、男性であれば男性を選びましょう、ということになっています。

ステップ5で、自分の棚卸しを聞いてもらい、自分の過ちの本質が何であったか、どういうところだったのか、ということを導きだします。棚卸しをしたので、自分でも過ちの本質は分かるはずですし、聞いてくれた相手からもコメントがあるでしょう。そして次のステップに進みます。

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