タイトル 失踪日記 アル中病棟(失踪日記2)<第7回>
著者 吾妻ひでお
出版社 イースト・プレス
【読みながら、思うことを少しずつ(5)】
「アル中病棟 失踪日記2」
アル棟7 面会日
印象深いコマがいくつも出てくる。面会に来てくれた奥さんが「なんか怖いから帰るね」とすぐに帰ってしまったという1コマがある。アル中は概ね気が小さい人が多くてちっとも怖くないのだが、たしかに独特の雰囲気を醸し出しているので、嫌だろう(笑)。
入院仲間と散歩にいく1コマ。小林さんみたいなタイプも、意外といる。脇道さんの1コマ。これは家族の対応もうまくない。とはいえ、アル中と一緒にいればああなるのも当然である。そのままだと家族もつらいままだ。家族は家族のプログラムに参加し、(家族のための)自助グループやプロの支援者によるメンタルなサポートが必要なのだが、個人的にはその辺が非常に不足していると思っている。
アル棟8 去る人・帰る人
姫島さんのようなジゴロタイプもよくいる(笑)
アル棟9 歯科健診
アル中は歯がガタガタになる、という話。これは本当に、そう。まず、歯を直さないとどうしようもないと思う。自助グループへの参加と歯の治療はアル中、回復の必須条件だ!
アル棟10 王将戦
入院中のひまつぶしというか、楽しみごとのお話。拾ったものでオブジェを作る吾妻氏、さすが。
時間があるといえば、私が通ったアルコールデイケアも同様だった。プログラムは10:00~11:30くらい。午後のプログラムは13:30~15:00くらいだったように思う。駅からの送迎バスの関係で朝は早めに着くし、昼休みは2時間あるし、帰りのバスの待ち時間もある。
デイケア仲間の男性から、将棋を教えてもらうことになった。初心者用の本もいただいた。大手新聞社に勤務していたというその方は、当時70代前半くらいで、教養の残り香のある方だった。枯れた感じで、あまり断酒して前向きに生きていこう、という感じはなく、体調も悪かったのか、デイケアも休みがちで、私のほうが先にデイケアを卒業してそれきりになってしまった。今でこそ女性も増えたが、当時はアル中の世界は本当に「男性・中高年」が中心だった。私は実は結構オヤジ好き、なのでアル中の世界に親和性が高かったは幸いしたのかもしれない。ズバリ「年上でインテリ」がタイプだ。どうでもよいことだが。
アル棟11 素面の我が家
外出(入院中の病院から帰宅して9時~17まで過ごして、病院へ戻る)の体験。P169 最後のページ。自宅から病院へ戻るときの感慨「素面って不思議だ…」同感!! 私も酒が止まった当初は風景が違って見えた。度の合ったメガネをかけたような感じだった。
まだまだ続きます。
(記:2023年5月18日)